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2018年8月17日金曜日

【高橋弘希】「朝顔の日」を読みました

先日、芥川賞を受賞された高橋弘希氏の本を読んでみました。
「朝顔の日」

美しい文章に魅了されます。
結核を患い入院中の妻を頻繁に見舞う夫の物語。

妻は、亡くなるでもなく、元気になるわけでもなく、淡々と流れていく入院生活。
ある時、咽頭炎を併発したため、声をだすことを禁じられ、筆談で話をするのですが、
妻の言葉が、また美しい!
日本語の素晴らしさを伝えてくれる作品であり、きれいな言葉を紡ぐのがこの方の天職なんだと思いました。
芥川賞受賞作品は「送り火」
これから読むのですが、楽しみですー。

2018年7月24日火曜日

【新井賞】芥川賞、直木賞の同日、密かに発表される賞があります

              
先週末は、恒例芥川賞直木賞の発表がありました。
芥川賞は、高橋弘希氏の「送り火」が受賞しました。

アーティスティックな感じの方です。
オルタナ系ロックバンドで作詞、作曲、ボーカル、ピアノを担当していらして、現在も音楽活動を続けていらっしょるようです。



直木賞は、島本理生氏の「ファーストラヴ」

小学生の頃から小説を書かれていたそうです。現在、35歳。若き才能です。




このビッグタイトルで、同日発表されるがあります。
三省堂の書店員、新井さんが選ぶ、上半期で一番面白かった小説に与えられる賞、

新井賞です。

報道されることもなく、賞金もありません。
必ず面白いので、毎回楽しみにしている賞です。
今回は第8回目。
栄えある受賞作は三浦しをん氏の「ののはな通信」です!

「舟を編む」とか、「まほろ駅前多田便利軒」を書かれた方です。
楽しみですー。

2018年7月4日水曜日

【千早茜】「男ともだち」を読みました

             
新井賞、栄えある第一回受賞作品です。

この話、すごく好き。

大学の先輩と後輩の物語。
同棲している彼がいて、医者でイケメンの愛人がいて、何でも受け止めて受け止めてくれる大学の先輩ハセオという男ともだちがいて、イラストレーターとして仕事もそこそこ忙しい…
と、まぁ非常に羨ましい境遇の神名葵
でも、彼女は自分のことがよくわからない。
神名本人はもちろん、ハセオも、同棲中の彼も、愛人の医者も、スナックのママのゲイも、とにかく登場人物が全員ポンコツなんです。
およそ小説の主人公になりえない人達。
みんなグルグルに迷走中。
一度、全部捨てちゃえば?
迷走する神名にハセオが言った一言がすごく好きです。
自分の人生に無くてはならないものと、無くても良いものを見分けられるようになったら
それだけで、心軽く生活できる…
断捨離って、タダモノを捨てるだけじゃないんだなー。
千早茜さんの本、初めて読みました。
題名のセンスがすごく良くて、題名から内容が全く想像できません。
これも読んでみたい。

最新作、「クローゼット」
装丁も素敵。

2018年5月18日金曜日

【理科系の作文技術】普段読まない種類の本ですが、面白いです

               
理科系の人が、他人に読んで理解してもらうための文章を書く手引書的な内容です。
美しい文章の書き方ではなく、報告書や論文を書くために気をつけなければならない事、心を高揚させるとか、琴線に触れるとか、文学的なことは排除。

横書きなのも事務的でいい感じです。
情報と意見の正確な伝達を使命とする文章には、個人の感想、感情などを混入させない。意外と緻密に組み立てているんですね。
理系の人の文章はシンプルでわかりやすい。
学校で書く文章といえば、感想文だったり、遠足に行った作文だったり、
情緒的な事が優先されがちで、大学生になってからのレポートなども文化系の学生の場合は割りと意見や感情を入れがちな気がしますが、
理論立てて事実だけを述べるという書き方を教えてもらえてたら良かったな。

               

2018年4月17日火曜日

【門井慶喜】直木賞受賞作品「銀河鉄道の父」を読みました

先日、直木賞を受賞された門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」を読みました。

あの、あれデス。
カンパネラジョヴァンニが登場する名作、「銀河鉄道の夜」の作者宮沢賢治お父さんの物語です。
岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、37歳という若さで亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作したそうです。
知らなかったー。もう少し年を取った方だと思っていました。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場ですが、
賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた…
ということになっていますが、この物語によると、ごく若い頃は、親の富をを当てにして、好きなことをするゴクツブシ…的な人だったようです。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、息子をいかに育てたのか?
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描いた物語です。
父たる者の厳しさで子供たち対峙しようとする政次郎ですが、元来が心の優しい人なのでしょう、
愚かしさ温かさに満ちた人柄で描かれています。
この父がいたから宮沢賢治の現在があると思える、不器用で誠実な父の愛の物語、
母親が題材になっている話は多いですが、父の子への愛の物語はあまりないのではないかな?
心が暖かくなる物語でした。
最近読んだ本の中で一番好きです。
門井慶喜さんの他の本もよんでみようー。
  • 単行本デビュー作品
美術探偵神永美有と短大の美術講師佐々木昭友が名画の真贋の謎を解くミステリー小説です。
シリーズ物であと2冊あります。
  

2018年2月14日水曜日

【新井賞】最強書店員が選んだ7冊

              
新井見枝香さんという三省堂書店にお勤めの書店員さんに会いたい…
先日知ったばかりなのですが、「新井賞」のたった一人の選考委員なんだそうですー。
芥川賞直木賞が発表される同日新井賞という賞も発表されていることを知ったのは撮りためていたテレビ番組。 フジテレビ系列の「セブンルール」という番組です。
新井さんという方は、幼少の頃から無類の本好き。
好きが高じて本屋さんでアルバイト、その後そのまま就職という、あるといえばありがちな方です。
                                              
こんな方ですー。
本屋大賞の実行委員を務め、業界紙に連載を執筆、出版もされているのです。
本に対する審美眼には定評があり、彼女が推す本は必ず売れるという…
名だたる作家たちが厚い信頼を寄せているという最強書店員さんですー。
さらに、
こんなにも面白い小説になんの賞も与えられないなんて…
という思いから新井賞という賞を設立、授与しているのだそうです。
って勝手に作れるんだ…
賞金ゼロ、自信を持って入荷して死ぬ気で売るという特典がついてくるんだそうです。
今までにこの賞を与えられた小説は7冊。どんな本が選ばれているかというと…

新井賞受賞作品

  • 第一回  男ともだち  千早茜
  • 第二回  イノセントデイズ  早見和真
  • 第三回  朝が来る  辻村深月
  • 第四回  坂の途中の家  角田光代 
  • 第五回  やがて海へと届く 彩瀬まる
  • 第六回  貘の耳たぶ  芹沢央
  • 第七回  砂上  桜木紫乃
全部読む!
まずは、読んだことがある角田光代さんか、辻村深月さんの作品から読んでみるつもりです。

2018年2月9日金曜日

【マーガレット・アトウッド】「侍女の物語」を読みました

マーガレット・アトウッド代表作「侍女の物語」を読みました。
空恐ろしい物語でした。
舞台はギレアデ共和国。
近未来のアメリカにキリスト教原理主義勢力によって誕生した宗教国家です。
有色人種、ユダヤ人を迫害し他の宗派も認めない内戦状態にあり国民は制服の着用を義務づけられ、常に監視されています。まるで、どこかの国のようです。
逆らえば即座に処刑、あるいは汚染地帯にある収容所送りが待ちうけているという世界です。
生活環境汚染、原発事故、遺伝子実験などの影響で出生率が著しく低下し、数少ない健康な女性はただ子供を産むための道具として、支配者層である司令官たちに仕える「侍女」となるように決められています。

侍女制服。全身です。
余計なことは言わず、考えず、ただ妊娠する事だけが彼女たちに与えられた仕事です。
しかも、男の子を産んだほうが喜ばれる…

ゲームのような表紙。
恐ろしさがヒタヒタと近づいてくるような話ですが、引き込まれていきました。
この物語は、Huluで配信されています。
観たいなー。

2018年2月2日金曜日

【マーガレット・アトウッド】「またの名をグレイス」を読みました。

             

以前、Netflixで観た「またの名をグレイス」が面白かったので、本も読んでみました。
カナダの女流作家マーガレット・アトウッド最高傑作と言われている物語です。
1843年にカナダで実際に起こった殺人事件を元に小説化したものです。
1843年カナダ東部で、独身の地主と女中で愛人だった女性が何者かによって殺害されました。殺された女中は地主の子どもを宿していました。
警察は使用人男性と16歳の女中グレイス・マークスの犯行と断定。
2人は逃亡中のアメリカで逮捕され共に死刑が確定します。グレイスは収監後精神に異常をきたし精神病院に入ります。
最終的に、使用人男性は死刑が執行されましたが、グレイスは弁護士や支援者の訴えもあり終身刑に。
グレイスが若さと美貌で使用人男性をたぶらかして犯行を煽ったのか、使用人男性の犯行に巻き込まれだだけだったのか…様々な憶測が飛ぶ中、彼女はその後30年間服役し、赦免されたあとニューヨークに引っ越し、その消息の消息は不明…
ざっと、こんな物語です。

ドラマでグレイス役を演じている、サラ・ガドン
向こう側が透けて見えそうな透明感のある美しい女優さんです。
グレイスの心の声が細かく描写されているのですが、そこでも自分が殺人を教唆したとは語られず、グレイスの精神を鑑定する精神科医が自らも崩壊していく様子も恐ろしい…
結局、最後まで、グレイスが殺人を犯したのかどうかわからないまま物語が終わるのですが、限りなく犯人に近いように思えます。
1ミリの救いも無い静かな、くらーい物語にどんどん引き込まれていきました。
    

2018年1月31日水曜日

【カズオ・イシグロ】「忘れられた巨人」を読みました。

            
昨年度のノーベル文学賞を受賞されたカズオ・イシグロ氏の「忘れられた巨人」を読みました。
侵入するサクソン人に対抗したという伝説のアーサー王が亡くなってしばらく経った頃、現在のイングランドのあたりをブリトン人の老フフが息子を訪ねてたびに出るという物語です。
夫婦の暮らす地域はいつも霧が立ち込めていて、人々は霧に記憶を奪われながら生活しています。
この夫婦も、記憶が曖昧で、息子がどこで暮らしているのかもわからないまま旅に出るのです。
途中、伝説の竜を倒すために旅をしている騎士に出会い…
といったファンタジーですが、常に森と、霧に惑わされたような印象を持ちます。
とても愛し合っている様子の老夫婦の会話には、心温まります。
が、ラストシーンで、愛し合っているはずの二人が、考えられないような行動に出て、唐突に物語が終わってしまいます。
いつも霧の中を漂っているような、モヤモヤした不思議な物語。
もう一度じっくり読んでみるつもりです。
私はこちらのほうが好きです。
わたしを離さないで
臓器を提供するために生まれてきた子供達を題材にした、衝撃的な物語です。